南天(ナンテン)の剪定完全ガイド|赤い実を確実に付ける「3年サイクル」の法則と最適な時期
「難を転じて福となす」という縁起の良さから、玄関先やお庭に植えられることの多い南天(ナンテン)。鮮やかな赤い実は冬の庭を彩ってくれますが、育てているうちに、
「あれ?今年は実がつかない…」
「気づいたらボサボサに伸びすぎてしまった」
といったお悩みを抱えていませんか?
実は、南天は適当に枝を切ってしまうと、翌年の実がつかなくなるデリケートな性質を持っています。しかし、プロも実践する「ある法則」さえ知っておけば、誰でも簡単に樹形を整えながら、毎年美しい実を楽しむことができるのです。
この記事では、南天のお手入れでよくある以下のようなお悩みを解決します。
この記事はこんな人におすすめ
- せっかく植えたのに、ここ数年赤い実が全くつかない
- 背丈が伸びすぎて、玄関の屋根や軒先に届いてしまった
- 下のほうの葉が落ちてしまい、見た目がスカスカで格好悪い
- いつ、どの枝を切ればいいのか、失敗しない時期を知りたい
この記事でわかること
本記事を読むことで、以下のテクニックと知識が身につきます。
- 失敗しない剪定のベストタイミング(最適な時期)
- 実を絶やさないための「3年サイクル」剪定法の具体的な手順
- 伸びすぎた南天を低く仕立て直す「切り戻し」のコツ
- 初心者でも迷わない、切るべき枝と残すべき枝の見極め方
もう、「切りすぎて実がならなかったらどうしよう」と迷う必要はありません。正しいハサミの入れ方をマスターして、美しい南天で福を呼び込みましょう!
南天(ナンテン)の剪定時期は2月〜3月がベスト!その理由とは

南天(ナンテン)を育てる上で、多くの人が抱える最大の悩みは「せっかく育てたのに、冬に赤い実がつかない」という点ではないでしょうか。実は、南天が実を付けるかどうかは、「いつハサミを入れるか」で9割決まると言っても過言ではありません。
南天は非常に丈夫な植物で、枝を切ること自体で枯れてしまうことは滅多にありません。しかし、実を付けるための「花芽(はなめ)」の仕組みを知らずに時期を間違えると、翌年の実をすべて切り落としてしまうことになります。
ここでは、なぜ2月〜3月が「失敗しないベストタイミング」なのか、そして夏や秋に剪定してはいけない理由を、南天の成長サイクルに基づいて詳しく解説します。
赤い実が終わり、新芽が出る前。「2月〜3月」が最強の理由
結論から言えば、南天の剪定は2月から3月下旬までの間に行うのが鉄則です。これには明確な2つの生物学的理由があります。
- 実の観賞期間が終わり、木がリセットされる時期だから
南天の赤い実は、11月頃から色づき始め、お正月飾りとしてピークを迎えます。2月に入ると、実が落ち始めたり、鳥に食べられたりして、観賞価値が徐々に下がってきます。この「実が終わった直後」こそが、木への負担を最小限に抑えつつ、樹形を整える絶好のチャンスです。 - これから伸びる「新芽」の邪魔をしないため
もっとも重要なのがこの理由です。南天は春(4月〜5月頃)になると、新しい枝や葉を一気に伸ばし始めます。2月〜3月は、この成長期に入る直前の「休眠期」の終わりにあたります。
植物が活動を再開する前に不要な枝を整理しておくことで、春からのエネルギーを「これから実をつける枝」や「新しい枝」に集中させることができるのです。
この時期であれば、どの枝に実がついていたかが一目瞭然であるため、「実がついた古い枝を切り、実がつかなかった若い枝を残す」という南天剪定の基本ルールを、視覚的に迷うことなく実践できます。
4月以降の剪定はなぜ「危険」なのか?

「暖かくなってから切ろう」と考えて、4月以降に先送りするのはおすすめできません。ここには「花芽(はなめ)の分化」というリスクが潜んでいるからです。
4月に入ると、南天は新芽を伸ばし始めます。この時期に深く剪定をしてしまうと、勢いよく伸びようとしている新芽を誤って切り落としてしまう可能性が高まります。
また、5月〜6月にかけては、その年に花を咲かせるための準備(花芽分化)が体内で進んでいます。素人目には「ただの枝」に見えても、そこには将来の「花」そして「実」になるための細胞がすでにセットされているのです。
4月以降にバッサリと剪定することは、これから咲こうとしている花の蕾を摘み取ってしまう行為に等しく、実付きが悪くなる最大の原因となります。
夏〜秋の剪定は「翌年の実」を捨てる行為

さらに注意が必要なのが、夏から秋にかけての剪定です。「枝が伸びすぎて邪魔だから」といって、夏場に剪定をしていませんか?
南天の年間サイクルを見てみましょう:
- 6月〜7月: 白い花が咲く
- 8月〜10月: 緑色の実が膨らむ
- 11月〜12月: 実が赤く色づく
夏場にはすでに花が咲き終わっており、そこには小さな実の赤ちゃんが存在しています。この時期に枝先を切り詰めるということは、物理的に「実そのもの」を切り落とすことになります。
また、秋に剪定を行うと、翌年のためのエネルギーを蓄える葉を失うことになり、木が弱る原因にもなります。
どうしても夏場に枝が邪魔になった場合は、実がついていない徒長枝(とちょうし:勢いよく飛び出した枝)を軽く整える程度に留め、全体を小さくするような本格的な剪定は絶対に避けてください。
【まとめ】南天の年間カレンダーと剪定の正解

失敗を防ぐために、以下のカレンダーをイメージしてください。
- 2月〜3月:【◎ ベストタイミング】
- 実が終わり、新芽が出る前。太い枝の更新や樹形の調整を行うなら今しかありません。
- 4月〜5月:【△ 要注意】
- 新芽が動き出します。わかる人以外は触らないのが無難です。
- 6月〜7月:【× 剪定NG】
- 開花時期。受粉を妨げないよう、雨除け以外の干渉は避けます。
- 8月〜10月:【× 剪定NG】
- 実が育つ時期。ここでの剪定は、冬の赤い実を諦めることと同義です。
- 11月〜1月:【鑑賞期】
- 赤い実を楽しむ時期。剪定はせず、美しい姿を愛でましょう。
このように、「新芽が動く前(2月〜3月)」にハサミを入れることこそが、翌年の冬にたわわな赤い実を楽しむための最短ルートであり、唯一の「正解」なのです。
失敗しないための基礎知識「南天の3年サイクル」を理解しよう

南天(ナンテン)の剪定において、多くの人が抱える最大の不安は「せっかくの花芽を切ってしまうのではないか」「切りすぎて枯らしてしまわないか」という点でしょう。しかし、南天特有の「3年サイクル」という生理現象さえ理解してしまえば、切るべき枝と残すべき枝の判断は驚くほど簡単になります。
南天は、一本の幹が太くなっていく一般的な樹木とは異なり、地際から新しい枝(ひこばえ)を次々と伸ばして株立ち状に育つ植物です。この「株の中で世代交代を繰り返す」性質を理解することが、毎年赤い実を楽しむための最短ルートです。ここでは、そのメカニズムを詳しく解説します。
南天の一生は「3年」で一区切りと心得る
南天の枝は、芽が出てから枯れ込むまで、概ね3年のサイクルで役割を変えていきます。このサイクルを頭の中で図解するようにイメージしてください。
- 【1年目:成長の年】 地際から勢いよく伸びてくる新しい枝です。この段階ではまだ花や実はつけず、ひたすら幹を伸ばし、葉を茂らせることにエネルギーを使います。
- 剪定判断: 「絶対に残す」。これは来年、実をつけるための次期エース候補です。
- 【2年目:結実の年】 1年目に充実した枝の先端や葉の脇から花芽を出し、夏に白い花を咲かせ、冬に赤い実をつけます。最も観賞価値が高い「旬」の時期です。
- 剪定判断: 「鑑賞して楽しむ」。冬の間、赤い実がついている枝はこの2年目の枝が中心です。
- 【3年目以降:停滞・古木化】 一度実をつけた枝は、翌年以降、成長の勢いが急激に衰えます。背丈ばかりが高くなり、葉が枝先だけにしか残らない「盆栽のよう(あるいは竹ぼうきのような)」な姿になりがちです。実つきも極端に悪くなるか、全くつかなくなります。
- 剪定判断: 「根元から切る」。役目を終えた枝です。これを放置すると、株全体のバランスが崩れます。
なぜ「実がついた枝」を切るべきなのか?
初心者の方が最も躊躇するのが、「今年の冬に実をつけてくれた立派な枝を切ること」です。「実績がある枝なのだから、来年もまた実をつけるのでは?」と考えがちですが、南天においてはこれが落とし穴となります。
南天には「一度実をつけた枝は、翌年の実つきが悪くなる」という明確な性質があります。
実をつけた枝をそのまま残しておくと、その枝はさらに上へ上へと伸びようとします。すると、樹高ばかりが高くなり、下の方の葉が落ちてスカスカの状態になってしまいます。さらに重要なのは、古い枝が居座ることで、「新しい命(新芽)」の誕生を阻害してしまうという点です。
「更新剪定」が新しい枝へ栄養を届ける
剪定の最大の目的は、単に形を整えることではなく、株の中の「新陳代謝(メタボリズム)」を促すことにあります。これを園芸用語で「更新剪定」と呼びます。
植物の根が吸収できる栄養の量には限りがあります。もし、3年目以降の古い枝(実がつかない枝)をたくさん残していると、根から吸い上げた貴重な栄養と水分が、これら「老朽化した枝」の維持だけに使われてしまいます。
- 古い枝を切らない場合:
栄養が古い枝に奪われ、地際から新しい枝(1年目の枝)が出てこない。結果、株全体が老化し、数年後には実が全くつかない木になってしまう。 - 古い枝(実がついた枝)を切った場合:
行き場を失った栄養は、根元の新しい芽(ひこばえ)へと集中します。これにより、元気な「1年目の枝」が勢いよく飛び出し、翌々年の豊かな実りへとつながるサイクルが回り始めます。
つまり、「実がついた枝を切る」という行為は、未来の実りを作るための投資なのです。この「3年サイクル」の法則に従い、「実が終わった枝=役目を終えた枝」と割り切って根元から更新していくことこそが、毎年途切れることなく赤い実をならせるための確実な方法です。
南天の剪定方法|基本の「間引き」と「切り戻し」

南天(ナンテン)は放置すると株元から新しい枝が次々と生え、あっという間にボサボサの藪(やぶ)のようになってしまいます。これを防ぎ、赤い実を美しく鑑賞するためには、「どの枝を残し、どの枝を切るか」という判断が重要です。
ここでは、南天剪定の基本となる2つの技法「透かし剪定(間引き)」と「切り戻し」、そして美しい立ち姿に仕上げるための「仕立てのコツ」をステップ形式で解説します。
1. 基本の「透かし剪定(間引き)」:実がついた枝は根元から!
南天の剪定で最も重要、かつ失敗が少ないのがこの「透かし剪定(間引き)」です。込み合った枝を整理し、株の内側まで日当たりと風通しを良くすることで、病害虫を防ぎ、次の花芽の形成を促します。
【切るべき枝の優先順位】
- 実がついた(ついていた)枝
- これが最大のポイントです。南天は一度実をつけた枝には、翌年以降3年ほど花(実)がつきにくくなる性質があります。実の鑑賞が終わった枝、あるいは鳥に食べられて実がなくなった枝は、役目を終えたものとして根元から切り取ります。
- 枯れ枝・病気の枝
- 葉が落ちてしまい幹だけになった枝や、変色している枝は迷わず根元から切ります。
- 細すぎる枝・ひこばえ
- 株元から生える細くて頼りない枝(ひこばえ)は、栄養を奪うだけなので整理します。ただし、将来の更新用として太くて元気なものは残しておきます。
【手順のポイント】
中途半端な位置で切るのではなく、必ず地際の根元ギリギリで切り落としてください。株元をスッキリさせることで、新しい元気な枝(シュート)が生えやすくなります。
2. 高さを抑える「切り戻し」:切る位置は「節のすぐ上」
「背が高くなりすぎて玄関の庇(ひさし)に届いてしまった」「樹形が縦に間延びしてしまった」という場合は、「切り戻し」を行って樹高を調整します。
南天は生命力が強いため、幹の途中で切っても脇芽を出して成長しますが、切る位置(ライン)を間違えると、見た目が悪くなるだけでなく枯れ込みの原因になります。
【正しい切る位置】
- 節(ふし)のすぐ上で切る
- 南天の幹には竹のような「節(葉が出ている部分)」があります。剪定をする際は、残したい高さにある節の5mm〜1cmほど上で水平、またはやや斜めにカットしてください。
- NGな切り方
- 節と節の中間(胴切り)で切るのは避けましょう。節までの余った部分が枯れ込んでしまい、黒ずんで見栄えが悪くなる上、そこから腐りが入るリスクがあります。
切り戻しを行うと、切った部分のすぐ下の節から新しい芽が伸びてきます。これを計算に入れて、理想の高さよりも少し低めにカットするのがコツです。
3. 美しい樹形を作るコツ:幹の数は「奇数」に調整する
剪定の仕上げとして意識したいのが、残す幹の本数です。なんとなく残すのではなく、日本庭園の美学を取り入れた「数」と「バランス」を意識すると、プロのような仕上がりになります。
【幹の数は奇数(1・3・5本)にする】
日本庭園や生け花の世界では、割り切れない数字である「奇数」が縁起が良いとされ、また左右非対称のバランスが美しいとされます。
- 3本仕立て(基本): 「大・中・小」と高さの異なる3本の幹を残すと、奥行きとリズムが生まれます。
- 5本仕立て(ボリューム重視): 株が大きく育っている場合は5本残します。これ以上増やすと、葉が混み合いすぎて実付きが悪くなる原因になります。
【理想的なバランスの作り方】
- 主幹(メイン)を決める: 最も背が高く、太くて元気な枝を1本選びます。
- 副幹を選ぶ: 主幹の3分の2程度の高さの枝を選びます。
- 更新用の若い枝を残す: 地面から伸びてきたばかりの、勢いのある若い枝(将来の主役)を低い位置のアクセントとして残します。
このように「高さの強弱」をつけることで、風通しが確保されるだけでなく、赤い実がなった時に段差が生まれ、全体が華やかな印象になります。「実がついた古い枝」を根元から切り、「新しい枝」を育てるサイクル(更新剪定)を回すことが、毎年美しい南天を楽しむ秘訣です。
種類で違う?「お多福南天(オタフクナンテン)」などの剪定法

ここまで解説してきた「3年サイクル」や「実を付けるための剪定」は、あくまで一般的な「本南天(実南天)」の話です。
実は、庭木やグラウンドカバーとして非常に人気のある「お多福南天(オタフクナンテン)」や、茶花として愛される「錦糸南天(キンシナンテン)」などは、剪定の目的や方法が大きく異なります。
「同じ南天だから」とひとくくりにせず、品種ごとの特性に合わせたお手入れをすることで、それぞれの魅力を最大限に引き出すことができます。ここでは、特にお悩みが多い品種別の剪定法を詳しく解説します。
実を期待しない?「お多福南天」の剪定ルール
街路樹やマンションの植栽、一般家庭のグラウンドカバーとしてよく見かける、背が低く丸い形をした南天。それが「お多福南天(オタフクナンテン)」です。
まず、大前提として知っておくべき最も重要なポイントがあります。それは、「お多福南天は、基本的に実が付かない(付きにくい)」ということです。
一般的な南天が「赤い実」を鑑賞するための木であるのに対し、お多福南天は「冬の真っ赤な紅葉」と「丸く愛らしい樹形」を楽しむための品種です。そのため、これまで解説してきた「花芽を切らないように注意する」という神経質な配慮は、お多福南天にはほとんど必要ありません。
その代わり、意識すべきは「美しい葉を密に茂らせること」と「コンパクトな高さを維持すること」の2点です。
鮮やかな紅葉を楽しむための「葉の更新剪定」
お多福南天の最大の魅力は、冬に霜に当たることで真っ赤に染まる葉です。しかし、何年も放置していると、枝が混み合いすぎて内部の日当たりや風通しが悪くなり、葉の色が悪くなったり、病害虫(カイガラムシなど)が発生しやすくなったりします。
これを防ぐために行うのが、透かし剪定(間引き)です。
- 枯れ枝・細い枝の除去
株の内側にある、枯れてしまった枝や、ひょろひょろと細すぎる枝を根元から切ります。 - 古い太い枝の更新
数年経過して木質化し、ゴツゴツとした古い枝を根元から切り取ります。これにより、株元から若々しい新しい枝(ひこばえ)が生えてくるのを促します。
若い枝のほうが葉の艶が良く、紅葉した際の発色も鮮やかです。「古い枝を捨て、新しい枝に入れ替える」という意識でハサミを入れましょう。
足元がスカスカ…樹形が崩れた時の「切り戻し」
「植えた時はこんもりしていたのに、数年経ったら背が高くなりすぎて、足元の葉がなくなりスカスカになってしまった」
これはお多福南天で最も多いお悩みの一つです。
お多福南天は成長が遅いとはいえ、放置すれば高さ50cm〜60cmほどに伸び、下葉が落ちて不格好な「頭でっかち」の状態になります。こうなってしまった場合は、思い切った「切り戻し」が有効です。
- 時期: 3月〜4月頃(新芽が動く前)
- 方法: 地面から10cm〜15cm程度の高さで、全体をバッサリと切りそろえます。
「そんなに短くして枯れない?」と心配になるかもしれませんが、お多福南天は非常に萌芽力(芽を出す力)が強い植物です。春になれば切った部分の下から新しい芽が一斉に吹き出し、またこんもりとした美しいドーム型に再生します。数年に一度このリセットを行うことで、いつまでも低く美しい姿をキープできます。
「錦糸南天(キンシナンテン)」などの特殊な品種
園芸趣味の強い方や、和風の寄せ植えなどで見られる「錦糸南天」は、葉が糸のように細く、非常に繊細な姿が特徴です。
このタイプは成長が極めて遅く、大きく育てるというよりは、盆栽のように小さな姿を楽しむものです。そのため、お多福南天のような大胆な剪定は厳禁です。
- 基本は「掃除」程度に:
枯れた葉を取り除いたり、明らかに枯れ込んだ枝先を摘んだりする程度にとどめます。 - 伸ばしたい場合のみ選定:
もし特定の枝が飛び出して樹形を乱している場合のみ、その枝の分岐点で切り取りますが、基本的には自然樹形で楽しみます。
このように、ひとくちに「南天」と言っても、実を楽しむのか、葉を楽しむのか、あるいは繊細な姿を楽しむのかによってハサミの入れ方は変わります。ご自宅の南天がどのタイプかを見極め、目的に合った剪定を行いましょう。
次は、剪定と合わせて行いたい「肥料」や「置き場所」など、南天を元気に育てるための日常管理について解説します。
剪定に必要な道具と準備

南天の剪定を成功させるためには、正しい時期や手順を知ることと同じくらい、「適切な道具」を揃えることが重要です。
「庭木だから、手持ちのハサミでなんとかなるだろう」と考えて作業を始めると、思わぬ苦戦を強いられることがあります。特に南天は、見た目の繊細でしなやかな印象とは裏腹に、幹(茎)が非常に硬いという特徴を持っています。
ここでは、南天の特性に合わせ、作業効率を上げつつ、木へのダメージを最小限に抑えるための「必須道具」と「準備」について詳しく解説します。
1. 剪定ばさみ(基本の道具)
まずは基本となる剪定ばさみです。ただし、文房具のハサミや、草花用の華奢なハサミは避けてください。
- 選び方のポイント:
南天の細い枝や、葉のついた小枝を整理するために使用します。直径1cm程度までの枝であれば、一般的な剪定ばさみで対応可能です。
切れ味の悪いハサミを使うと、切り口(切断面)の細胞が押しつぶされてしまい、そこから雑菌が入ったり、枯れ込みの原因になったりします。「スパッ」と綺麗に切れる、手入れされた園芸用の剪定ばさみを用意しましょう。握りやすく、バネの力がしっかりしているバイパスタイプがおすすめです。
2. 園芸用ノコギリ(南天剪定の重要アイテム)
ここが南天の剪定において最も重要なポイントです。
南天を育てて数年が経つと、株元から伸びる幹が太くなり、木質化してきます。南天の幹は繊維が密で、まるで「竹」のように硬いのが特徴です。
- なぜノコギリが必要なのか:
古い幹を根元から間引く際、無理に剪定ばさみで切ろうとすると、ハサミの刃が欠けてしまったり、手首を痛めたりする原因になります。また、無理な力が加わることで幹が裂け、残したい株の方まで傷めてしまうリスクがあります。 - 選び方のポイント:
刃渡りの長い大工用のノコギリである必要はありません。密集した株元に差し込んで作業ができるよう、刃渡りが短く、刃先が細くなっている「園芸用(剪定用)ノコギリ」を用意してください。折りたたみ式のコンパクトなもので十分です。これ一本あるだけで、作業の疲労度が劇的に軽減されます。
3. 厚手の手袋(怪我防止)
南天にはバラのような鋭いトゲはありませんが、剪定作業には危険が伴います。
- 選び方のポイント:
剪定した枝の切り口は鋭利になりやすく、整理中に手や腕を引っ掻いてしまうことがあります。また、硬い幹をノコギリで切る際は手に力がかかるため、滑り止めがついているものが安全です。
薄手の軍手よりも、背抜きタイプ(手のひらがゴムコーティングされているもの)や、革製のガーデニンググローブがおすすめです。これらはトゲや枝の突き刺さりから手を守ってくれるだけでなく、グリップ力が強いため、硬い枝を扱う際の握力を補助してくれます。
4. 癒合剤(ゆごうざい)
太い幹を切った後のケア用品です。「トップジンMペースト」などが有名です。
- 使用する理由:
南天は比較的丈夫な植物ですが、太い幹をノコギリで切断した場合、切り口の面積が大きくなります。そこから水分が蒸発して木が弱ったり、雨水から菌が侵入して腐食したりするのを防ぐために使用します。
「絶対に必要」というわけではありませんが、翌年以降も美しい赤い実を確実に楽しみたいのであれば、太い枝の切り口に塗布しておくことを強くおすすめします。
5. 掃除用具と服装
- 服装:
枝葉の間に入り込んで作業をすることがあるため、夏場であっても長袖・長ズボンの着用を推奨します。ナイロン製など、枝が引っかかりにくい素材の上着が良いでしょう。 - 掃除用具:
竹ぼうきや熊手(クマデ)があると便利です。剪定後の南天の葉は地面に散らばりやすいため、これらがあると後片付けがスムーズに進みます。
【準備チェックリスト】作業前にこれだけは揃えよう
これからの剪定作業をスムーズに行うために、以下のリストを確認してください。
- ✅ 剪定ばさみ(切れ味の良いもの)
- ✅ 園芸用ノコギリ(硬い幹を切るための必須アイテム)
- ✅ ガーデニング手袋(厚手またはゴムコーティング)
- ✅ 癒合剤(太い枝の切り口保護用)
- ✅ ゴミ袋・結束紐(剪定枝の処分用)
- ✅ 長袖の作業着
南天の剪定は、「硬い幹との戦い」になる場面が多々あります。特に「園芸用ノコギリ」の有無は、作業時間と仕上がりの美しさに直結します。道具を万全に整えてから、次章の具体的な剪定手順へと進みましょう。
南天の剪定Q&A|実がつかない原因や害虫対策は?

南天の剪定に関する基本的なルールを理解していても、いざ実践してみると「本当にこれで合っているのか?」「予想外の状態になった」と不安になることは多いものです。
ここでは、南天栽培で特によく寄せられるトラブルや疑問について、その原因と具体的な解決策をQ&A形式で解説します。剪定の失敗を防ぐための「転ばぬ先の杖」として、ぜひ参考にしてください。
Q1. 剪定をしたのに実がつきません。何が原因ですか?
「実を楽しむために南天を植えているのに、葉っぱばかり茂ってしまう」というのは最も多い悩みです。剪定をしたにもかかわらず実がつかない場合、主に以下の3つの原因が考えられます。
① 花芽ごと枝を切ってしまった(時期と枝の選定ミス)
最も多いのが、「これから実をつけるはずだった新しい枝」を切ってしまうケースです。
南天の花芽は夏から秋にかけて形成されます。もし、夏以降に全体を整えるような強い剪定を行ったり、あるいは適期(2月〜3月)であっても「前年に伸びた新しい枝(赤っぽい樹皮の枝)」を切ったりしてしまうと、翌シーズンの花芽を全て失うことになります。
- 対策: 剪定は必ず「実がなり終わった古い枝」だけを対象にし、新しい枝は絶対に残すようにしてください。
② 開花期の雨で受粉に失敗した
剪定が完璧でも実がつかない場合、天候が原因の可能性があります。南天は梅雨時期(6月頃)に白い花を咲かせますが、この時期に長雨が続くと花粉が雨で流され、受粉できずに実がなりません。
- 対策: これは自然現象なのでコントロールが難しい部分ですが、鉢植えであれば、開花時期だけ軒下に移動させて雨を避けることで、結実率を上げることができます。
③ 肥料のバランスが悪い(チッ素過多)
「大きくしたい」と肥料を与えすぎると、葉や茎ばかりが成長し、花や実がつかない「木ボケ」という状態になります。特に油かすなどの「チッ素」が多い肥料を与えすぎるとこの傾向が強まります。
- 対策: 肥料は控えめにし、与える場合は「リン酸」や「カリ」を含んだ、花付き・実付きを良くする肥料を選びましょう。
Q2. 足元の枝葉がなくなり、下がスカスカで格好が悪いです。
長年育てている南天によくあるのが、上の方には葉や実があるけれど、幹の下半分は葉が落ちて「竹ぼうき」のような姿になってしまう状態です。南天は成長に伴い、古い幹の下の方の葉を自然と落とす性質があるため、放っておくとどうしても足元が寂しくなります。
原因は「古木の残しすぎ」
太くて立派だからといって古い幹を何年も残し続けると、根のエネルギーがその維持に使われ、足元から新しい芽(ひこばえ)が出るのを妨げてしまいます。
- 解決策:「切り戻し」で世代交代を促す
勇気を持って、背が高くなりすぎた古い幹を根元近く(地際から5〜10cm程度)でバッサリと切断してください。南天は非常に萌芽力(芽を出す力)が強い植物です。古い幹を切ることで、根に溜まったエネルギーが行き場を探し、切った切り口や根元から新しい元気な芽を吹き出させます。
この「切って、新しい芽を出させる」サイクルを作ることが、足元までふんわりと葉が茂る美しい樹形を保つ唯一の方法です。
Q3. 葉が黒く汚れたり、白い塊がついています。病気でしょうか?
南天は比較的病害虫に強い木ですが、環境が悪化すると害虫被害にあいます。特に注意が必要なのが「カイガラムシ」と、それに伴う「すす病」です。
症状と原因
- 白い塊: 枝や葉の付け根に付着している白いフワフワ、あるいは硬い殻のようなものは「カイガラムシ」です。植物の汁を吸って弱らせます。
- 黒い汚れ: 葉が煤(すす)をかぶったように黒くなるのは「すす病」です。これはカイガラムシの排泄物にカビが生えたもので、光合成を妨げます。
最大の原因は「風通しの悪さ」
枝が混み合いすぎて、株の内部に風が通らず湿気がこもると、カイガラムシが爆発的に増殖します。つまり、剪定不足が害虫を招いているのです。
- 対策と予防
- 物理的に除去する: カイガラムシは成虫になると硬い殻を持ち、薬剤が効きにくくなります。見つけ次第、古い歯ブラシなどでこすり落としてください。
- 透かし剪定を行う: これが最も重要です。混み合った枝を間引き、向こう側が見えるくらいまで風通しを良くしてください。日当たりと風通しが改善されれば、害虫のリスクは激減します。
Q4. 背が高くなりすぎました。どこまで切っても大丈夫ですか?
玄関先などで屋根に届くほど大きくなってしまった場合、高さを抑える剪定が必要です。
- 回答:思い切って低くしても大丈夫です。
南天は、幹のどの位置で切ってもそこからまた芽吹く力を持っています。しかし、中途半端な高さ(例えば目の高さ)でぶつ切りにすると、切断面から複数の枝が放射状に出てしまい、樹形が乱れて美しくありません。 - 推奨する方法
全体の背を低くしたい場合は、一番背の高い古い幹を根元から切り取ってください。そして、中くらいの高さの若い幹を主役に据え変えます。「高いところを切る」のではなく「高い幹そのものを間引く」ことで、自然な樹形を保ったままサイズダウン(低木化)させることができます。
まとめ|古い枝を整理して、幸運の赤い実を絶やさない庭へ

南天(ナンテン)の剪定について、もっとも重要な「時期」や「切るべき枝の選び方」を詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「せっかく育った枝を切るのはもったいない」「もし間違って花芽を切ってしまったらどうしよう」と、ハサミを入れる瞬間に躊躇してしまう気持ちは、多くのガーデナーが抱くものです。しかし、ここまで読み進めていただいたあなたなら、もう大丈夫です。
最後に、南天剪定の極意を改めて整理し、自信を持って庭に出られるよう要点を振り返ります。
「実がついた枝=役目を終えた枝」というシンプルな法則
南天の剪定で最も迷いやすい「どの枝を切るか」という問題。これに対する答えは、記事の中で繰り返しお伝えした「実がついた枝は、役目を終えた枝である」という一点に尽きます。
南天は、一度実をつけた枝先には、翌年以降、再び美しい実をたわわに付ける力は残っていません。そのまま残しておくと、木全体のエネルギーが分散してしまい、かえって新しい枝(次の実をつける候補)の成長を阻害することになります。
- 1年目: 地面から勢いよく伸びる
- 2年目: 花を咲かせ、赤い実をつける
- 3年目: 剪定して、新しい命へバトンを渡す
この「3年サイクル」の法則を思い出してください。実がついた枝を根元から切ることは、植物を傷つけることではなく、「世代交代」を促すポジティブな手入れなのです。この代謝を人間が手助けしてあげることで、南天は毎年若々しいエネルギーを保つことができます。
最適な時期は2月〜3月!春の芽吹き前にリセットを
剪定のタイミングも、成功の鍵を握ります。
寒さが和らぎ始める2月から3月は、冬の間楽しませてくれた赤い実が落ち始め、かつ新しい芽が動き出す直前の時期。このほんの少しの期間こそが、南天にとってのゴールデンタイムです。
この時期を逃し、夏から秋にかけて剪定をしてしまうと、すでに形成されている翌年の「花芽」を切り落としてしまうリスクが高まります。「夏に伸びすぎたから」といってバッサリ切ってしまうのが、実がつかない最大の原因です。
「剪定は冬の終わり、春の始まり」と決めてカレンダーに書き込んでおけば、うっかり花芽を切ってしまう失敗は確実に防げます。
「難を転ずる」縁起木として、風通しの良い姿へ
南天はその名の通り「難を転ずる」として、古くから魔除けや幸運の象徴として愛されてきました。しかし、枝が混み合い、枯れ枝が残ったままの鬱蒼とした姿では、病害虫の温床になりかねず、せっかくの縁起木の魅力も半減してしまいます。
古い枝を整理して株元の風通しを良くすることは、見た目を美しく整えるだけでなく、カイガラムシなどの害虫予防にも直結します。スッキリと整えられた南天の緑の葉と、そこに映える鮮やかな赤い実のコントラストは、冬の庭に彩りと活気を与えてくれるはずです。
「高さを抑え、古い枝を抜き、新しい枝に光を当てる」
この基本さえ守れば、南天は驚くほど丈夫で、毎年私たちを楽しませてくれます。
ハサミを入れることへの不安はもう不要です。次の冬、またたくさんの「幸運の赤い実」に出会うために、ぜひ今週末、愛着を持って古い枝の更新をしてあげてください。
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グリデザ
編集部🌱
この記事を書いた人
デスクワークじゃ味わえない、汗と土とお客さんの「助かった」の声。会社を辞め、思い切って飛び込んだのが造園の世界でした。
最初は素人。でも、気づけば仲間とともに職人チームを結成。今では“庭まるごと相談所”として、地域に頼られる存在に。
現場第一主義、今日も草と格闘中!