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特殊伐採とは?費用相場から業者選びのコツ、必要な資格まで徹底解説

「家の裏にある大木が、台風で倒れないか心配…」
「重機が入れない狭い場所の木を切りたいけど、どうすればいいの?」
「特殊伐採って言葉は聞くけど、普通の伐採と何が違うんだろう?」

この記事では、こうしたお悩みを解決するため、重機が入れない場所や危険な高木の伐採で用いられる「特殊伐採」について、その概要から費用、信頼できる業者の選び方、さらには仕事として目指すために必要な資格まで、あらゆる情報を網羅的に解説します。

ご自宅の木の伐採でお悩みの方も、これから特殊伐採の仕事に就きたい方も、ぜひ最後までご覧ください。

1. 特殊伐採とは?通常の伐採との違いを分かりやすく解説

まずは「特殊伐採」がどのようなものなのか、基本的な知識から見ていきましょう。

1-1. 特殊伐採の定義

特殊伐採とは、ロープやクライミング技術を駆使し、重機を使わず(または限定的に使用し)に木を伐採する専門技術のことです。「空師(そらし)」や「アーボリスト」と呼ばれる専門技術者が、木に登って上から少しずつ枝や幹を切り落とし、ロープで安全に地上へ降ろします。

これにより、重機が入れない狭小地や、周囲に建物を傷つけられない障害物がある場所でも、安全かつ確実に木を伐採することが可能になります。

1-2. 通常の伐採との違いが一目でわかる比較表

特殊伐採と、重機を使って根元から切り倒す「通常の伐採」の違いを比較表にまとめました。

特殊伐採と通常の伐採の違い比較
項目特殊伐採通常の伐採
作業場所狭い場所、急斜面、建物や電線が隣接する場所広く平坦で、木を倒すスペースがある場所
使用機材ロープ、ハーネス、専門道具、クレーン(補助的)チェーンソー、重機(バックホー、ユンボ等)
技術クライミング、リギング(吊るし切り)根元から狙った方向に切り倒す
費用高くなる傾向がある比較的安い
安全性高い専門技術と徹底した安全管理が必要重機操作の技術と安全管理が必要

1-3. 近年、特殊伐採の需要が高まっている3つの理由

近年、特殊伐採の専門業者への依頼が増えています。その背景には、主に3つの理由があります。

  1. 都市部での住宅密集化
    隣家との距離が近い、庭に車が入るスペースがないなど、重機が進入できない現場が増えています。このような状況で安全に木を伐採するには、特殊伐採の技術が不可欠です。
  2. 異常気象の増加
    大型台風やゲリラ豪雨の増加により、倒木のリスクが高まっています。特に、枯れた木や大きく傾いた木は、強風で倒れて家屋を損壊させたり、電線を切断したりする危険性があるため、予防的な伐採の必要性が増しています。
  3. 樹木の高齢化・大木化
    庭木が長年放置されて高木化してしまったり、地域の神社にある御神木が古くなって管理が難しくなったりするケースが増えています。個人での管理が困難になった巨木の伐採・剪定にも、特殊伐採の技術が求められます。

2. こんな時は特殊伐採が必要!具体的な7つのケース

ご自身の状況が特殊伐採に当てはまるか、具体的なケースでチェックしてみましょう。一つでも当てはまれば、専門業者への相談をおすすめします。

  • ケース1:重機やクレーン車が入れない狭い場所の木
    家の裏手や、車が通れない細い道の先にある木など。
  • ケース2:建物や電線、お墓などの障害物に隣接している木
    木を切り倒すスペースがなく、枝や幹が建物、電線、カーポート、お墓などに接触している、またはその恐れがある場合。
  • ケース3:枯れていたり、腐っていたりする危険木
    枯れ木や、幹の内部が腐っている木は強度が低く、通常の伐採方法では途中で折れて思わぬ方向に倒れる危険があります。特殊伐採では、状態を慎重に見極めながら安全に作業を進めます。
  • ケース4:崖や急斜面に生えている木
    足場が悪く、重機を設置できないような不安定な場所に生えている木。
  • ケース5:高すぎる、または太すぎる巨木・高木
    高さが20mを超えるような高木や、人の手では抱えきれないほどの巨木は、安全管理の観点から特殊伐採が必要となります。
  • ケース6:伐採した木を搬出するルートがない
    伐採はできても、切り倒した木を運び出す道がない場合。特殊伐採では、木を細かく分解して運び出すことができます。
  • ケース7:一部分の枝だけを切りたい(枝下ろし)
    木を丸ごと伐採するのではなく、「隣の敷地にはみ出している枝だけを切りたい」「電線にかかりそうな枝だけを処理したい」といった場合も、木に登って行う特殊伐採の技術が活かされます。

3. プロの技!特殊伐採の主な工法と使用する専門道具

特殊伐採がどのように行われるのか、その驚きの技術と専門的な道具の世界を少し覗いてみましょう。

3-1. 主な工法

  • ツリークライミング(ロープワーク)
    作業員がロープやハーネスといった専用のクライミングギアを使って、自身の体一つで木に登っていく技術です。木の上で自在に移動し、安全を確保しながら伐採作業を行います。
  • リギング(吊るし切り)
    特殊伐採の核心技術です。切り落とした枝や幹を別のロープや滑車(ブロック)を使ってコントロールし、ゆっくりと安全に地上へ降ろします。この技術により、真下に家や障害物があっても、それらを傷つけることなく作業ができます。
  • クレーンを使った伐採
    現場にクレーン車が入れる場合は、作業員が木に登って枝や幹にワイヤーをかけ、クレーンで吊り上げながら伐採することもあります。これにより、より大きな部材を一度に、かつ安全に処理することが可能です。

3-2. 特殊伐採で使われる専門道具・装備

  • クライミングギア: 安全帯(ハーネス)、ヘルメット、登攀用の特殊なロープ、手袋、安全靴など、作業員の命を守る最も重要な装備です。
  • 伐採道具: 木の上で取り回しやすいように設計された小型・軽量の「トップハンドルチェーンソー」や、手動ののこぎりなどが使われます。
  • リギングギア: 切り落とした枝幹を安全に降ろすための専用ロープ、滑車(ブロック)、吊り下げるためのスリングなど、高い強度が求められる道具です。

4. 特殊伐採の費用相場は?料金の内訳と安く抑えるコツ

専門技術が必要な特殊伐採は、通常の伐採よりも費用が高くなる傾向があります。ここでは、費用の仕組みと賢く抑えるコツを解説します。

4-1. 特殊伐採の費用相場

特殊伐採の料金は、木の状況や現場の環境によって大きく変動するため、「1本〇〇円」といった定価を提示するのが難しいのが実情です。あくまで目安として、以下のような料金体系があります。

  • 木の高さ・太さ別の料金目安
    • 高さ3m~5m未満:30,000円~80,000円
    • 高さ5m~10m未満:50,000円~150,000円
    • 高さ10m~15m未満:80,000円~250,000円
    • 高さ15m以上:150,000円~(応相談)
      ※上記は伐採作業のみの目安。木の処分費や重機代は別途かかることが多いです。
  • 日当制の場合の相場
    作業の難易度が高い場合や、複数本の木をまとめて依頼する場合は、作業員の人数に応じた日当制が採用されることもあります。
    • 作業員1名あたり:25,000円~50,000円/日

4-2. 費用を左右する6つの要因

見積もり金額は、以下の要因によって決まります。

  1. 木の高さと幹の太さ: 木が大きく、太いほど作業時間と危険度が増すため、料金は高くなります。
  2. 枝の張り出し具合: 枝が広範囲に広がっていると、切る回数が増え、作業が複雑になります。
  3. 木の健康状態: 枯れ木や腐食が進んだ木は、作業中のリスクが非常に高いため、より慎重な作業が求められ、料金が加算されることがあります。
  4. 作業現場の立地条件: 急斜面、足場の悪さ、隣家や電線との距離が近いなど、作業の難易度と危険度が高いほど高額になります。
  5. クレーン車など重機の必要性: クレーン車や高所作業車を使用する場合、そのレンタル・運搬費用が加算されます。
  6. 伐採後の幹や枝の処分量: 伐採した木の量が多いほど、処分費用(運搬費、処分場での処理費)も高くなります。

4-3. 見積書の内訳をチェックしよう

業者から見積もりを取ったら、以下の項目が含まれているか、内容が明確かを確認しましょう。

  • 伐採作業費: 木を切る作業そのものにかかる費用。
  • 高所作業費・特殊技術費: 特殊伐採の技術料。
  • 伐採木の処分費: 切った枝や幹の運搬・処分費用。
  • 重機使用料: クレーン車などを使用した場合の費用。
  • 諸経費: 交通費、駐車場代、現場管理費など。

4-4. 費用を賢く抑える3つのポイント

  1. 複数の業者から相見積もりを取る
    最も効果的な方法です。2~3社から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討しましょう。料金だけでなく、担当者の対応や説明の丁寧さも判断材料にすることが重要です。
  2. 自治体の補助金・助成金制度を確認する
    地域によっては、危険木の伐採や緑化推進のために補助金・助成金制度を設けている場合があります。「お住まいの市区町村名 危険木 伐採 補助金」などで検索してみるか、役所の担当部署に問い合わせてみましょう。
  3. 伐採した木の処分を自分で行う
    伐採した幹や枝を薪ストーブの燃料として利用したり、地域のクリーンセンターに自分で持ち込んだりすることで、処分費用を節約できる場合があります。対応可能か、事前に業者に相談してみましょう。

5. 【依頼者向け】失敗しない!信頼できる特殊伐採業者の選び方

特殊伐採は、一歩間違えれば重大な事故につながる危険な作業です。大切な資産と安全を守るため、業者選びは慎重に行いましょう。

5-1. 優良業者を見極める5つのチェックポイント

  • Point1: 実績や施工事例が豊富か
    公式サイトなどで、自分と似たようなケースの施工事例が紹介されているか確認しましょう。写真付きで具体的な作業内容が掲載されていれば、技術力の高さを判断する材料になります。
  • Point2: 見積もりが明確で、内容の説明が丁寧か
    「作業一式」といった曖昧な見積もりではなく、「4-3. 見積書の内訳」で示したような項目ごとに料金が明記されているかを確認します。また、なぜその金額になるのか、追加料金が発生する可能性はあるのかなど、質問に対して誠実に答えてくれる業者を選びましょう。
  • Point3: 損害賠償保険に加入しているか
    これは必須のチェック項目です。万が一、作業中に建物や車を傷つけたり、第三者に怪我をさせてしまったりした場合に備え、損害賠償保険に加入している業者を選びましょう。加入の有無や補償内容を事前に必ず確認してください。
  • Point4: 安全管理体制がしっかりしているか
    現地調査の際に、危険箇所をどのように判断し、どのような安全対策を講じて作業するのかを具体的に説明できる業者は信頼できます。
  • Point5: 専門的な資格を保有しているか
    後述する「アーボリスト」などの専門資格は、高度な技術と知識、安全意識の証明になります。資格保有者が在籍しているかも、業者選びの一つの基準になります。

5-2. 問い合わせから作業完了までの流れ

  1. 問い合わせ・相談: 電話やメール、公式サイトのフォームから連絡します。木の状況や場所、悩んでいることを伝えましょう。
  2. 現地調査・見積もり: 業者が実際に現場を訪れ、木の状況や周辺環境を確認し、詳細な見積書を作成します。
  3. 契約: 見積もり内容に納得したら、契約を結びます。作業日時などを決定します。
  4. 近隣への挨拶: 優良な業者であれば、作業前に近隣住民へ騒音などに関する挨拶回りを行ってくれます。
  5. 作業実施: 安全管理を徹底し、計画に沿って伐採作業を行います。
  6. 確認・支払い: 作業完了後、依頼者が現場を確認し、問題がなければ料金を支払います。

5-3.【注意】自分で伐採(DIY)は絶対にNG!その危険性とは

「費用を節約したいから」と、自分で高所の木を伐採しようと考えるのは絶対にやめてください
素人が高所の伐採を行うことには、以下のような命に関わる重大なリスクが伴います。

  • 転落事故: はしごや木の上から転落し、死亡または重傷を負うリスク。
  • 物損事故: 切り落とした枝や幹が予期せぬ方向に落下し、自宅や隣家、車などを破壊するリスク。
  • 人身事故: 落下物や倒木が通行人などに当たり、他人を巻き込む大事故になるリスク。
  • 感電事故: 枝が電線に触れ、感電するリスク。

プロは専門的な訓練を受け、適切な装備と安全管理のもとで作業を行っています。少しでも危険を感じる木の伐採は、必ず専門業者に依頼してください。

6. 【就職・転職者向け】特殊伐採のプロ「空師・アーボリスト」という仕事

ここからは、特殊伐採を「仕事」として考えている方向けの情報をまとめました。

6-1. 空師・アーボリストの仕事内容とやりがい

  • 仕事内容: ロープを使って樹木に登り、伐採や剪定を行うのが主な仕事です。その他、樹木の健康状態を診断する「樹木医」のような役割や、巨木の移植、景観の維持管理など、活躍の場は多岐にわたります。
  • やりがいと大変なこと:
    • やりがい: 高い専門技術を駆使して難易度の高い作業をやり遂げた時の達成感、お客様から直接感謝される喜び、自然の中で働けることなどが挙げられます。
    • 大変なこと: 高所での作業には常に危険が伴います。夏は暑く、冬は寒い過酷な労働環境であり、高い体力と精神力が求められます。
  • 想定年収と求人市場の動向:
    経験や技術力によって大きく異なりますが、見習い期間を経て一人前になれば、年収400万円~800万円以上を目指すことも可能です。独立開業すれば、さらに高い収入を得るチャンスもあります。需要の高まりから、求人市場は活発な状況です。

6-2. 特殊伐採に必要な資格とスキル

特殊伐採の仕事に就くために、必須の資格(正確には特別教育の修了)と、スキルアップに役立つ資格があります。

  • 必須の資格・教育:
    • 伐木等の業務に係る特別教育: チェーンソーを用いて木の伐採作業を行うために法律で義務付けられている教育です。
    • チェーンソーに関する特別教育: 正式には「チェーンソー以外の振動工具取扱作業者安全衛生教育」など、業務内容に応じた教育の受講が必要です。
  • あると有利な資格・スキル:
    • アーボリスト®認定資格(ISA、JAA): 国際的な基準や日本の基準に基づいた、樹木に関する知識とクライミング技術を証明する資格。顧客からの信頼度が格段に上がります。
    • ツリークライマー®認定資格: ツリークライミングの基本的な技術と安全管理能力を証明します。
    • 小型移動式クレーン運転技能講習: クレーン車を操作できるようになり、仕事の幅が広がります。
    • その他: 刈払機取扱作業者、高所作業車運転者、玉掛け技能講習など。

6-3. 未経験からプロになるためのステップ

  1. 特殊伐採を行っている会社に就職する: 最も一般的なルートです。まずは見習いとして現場に入り、地上での補助作業(グラウンドワーク)から始め、先輩の指導のもとで少しずつ技術を習得していきます。
  2. 専門の講習会やトレーニングに参加する: アーボリストやツリークライマーの認定団体が開催する講習会に参加し、基礎的な知識と技術を体系的に学ぶことも有効です。
  3. 独立開業の道と将来性: 数年間の実務経験を積み、十分な技術と知識、顧客との信頼関係を築けば、独立開業も夢ではありません。社会的な需要は今後も高まると予想され、将来性のある仕事と言えるでしょう。

7. 特殊伐採に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 伐採後の木の処分もお願いできますか?
A1. はい、ほとんどの業者で対応可能です。伐採作業費とは別に処分費用がかかるのが一般的ですので、見積もりの際に必ず確認してください。

Q2. 作業時間はどのくらいかかりますか?
A2. 木の大きさや本数、現場の状況によって大きく異なります。簡単な作業であれば半日程度、難易度の高い巨木の場合は数日かかることもあります。現地調査の際におおよその作業日数を確認できます。

Q3. 台風で倒れそうな木に火災保険は適用されますか?
A3. 火災保険に「風災補償」が付帯していれば、実際に台風で木が倒れて建物に損害が出た場合には保険が適用される可能性があります。ただし、倒れる前の「予防的な伐採」には適用されないのが一般的です。詳しくはご加入の保険会社にご確認ください。

Q4. 作業中の騒音はどの程度ですか?
A4. チェーンソーや、場合によっては重機を使用するため、大きな音が発生します。多くの業者は作業前に近隣への挨拶回りを行いますが、ご自身でも事前に一声かけておくと、よりスムーズです。

Q5. 神社の御神木など、特別な木の伐採も可能ですか?
A5. はい、可能です。御神木や保存樹など、特別な樹木の伐採・剪定には、高い技術力と樹木への深い知識が求められます。このような依頼こそ、経験豊富な特殊伐採の専門業者の腕の見せ所です。お祓いなどの儀式が必要な場合もありますので、神社の宮司さんなど関係者の方と十分に相談した上で業者に依頼しましょう。

8. まとめ

この記事では、特殊伐採の基本から費用、業者選び、必要な資格までを詳しく解説しました。

【この記事のポイント】

  • 特殊伐採は、重機が入れない場所の木を安全に伐採する専門技術。
  • 費用は木の大きさや現場の状況で大きく変動するため、必ず相見積もりを取ることが重要。
  • 業者選びでは「実績」「明確な見積もり」「損害賠償保険の加入」を必ずチェックする。
  • 危険なので、絶対に自分で高所伐採はしない。

大きくなりすぎた木や枯れ木は、放置しておくとご自身だけでなく、ご近所にも危険を及ぼす可能性があります。少しでも不安を感じたら、それは専門家に相談するタイミングです。

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